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Tokyo Performing Arts Festival 2024 ~ Circle~       

2024都民芸術フェスティバル現代舞踊公演

水廻(みずめぐる) 〜Water Circle〜




宮田徹也さんより、清水フミヒト《水廻(みずめぐる)〜Water circle〜》私達がまだ経験したことの無い未来へ、この大地を継ぐ。の舞台評をいただきました!本作品に寄り添い、本作品の背景や出演者との関わり、そしてこの作品の未来をも描き出してくださっています。宮田さん!ありがとうございます。日本照明家協会の小川さんが撮影してくださった舞台写真もご覧いただきながら、宮田さんの舞台評をご紹介させていただきます。




宮田徹也(みやた・てつや)


1970年、横浜生まれ。日本近代美術思想史研究。

岡倉覚三、宮川寅雄、針生一郎を経て敗戦後日本前衛美術に到達。ダンス、舞踏、音楽、デザイン、映像、文学、哲学、批評、研究、思想を交錯しながら文化の【現在】を探る。






舞台評:


清水フミヒトが、壮大で圧巻な作品を創出し、発表した。


暗転が溶けると、女性ダンサー達が弧を描いて伏している。


舞台の広さを的確に把握している。円の中心にスポットが当たり、タヒチアンの野口を中心としながら、女性ダンサー達は踊りながら小さな集団から大きな群に集結する。


その踊りは優しく、素早く、若さに満ちている。群は煌びやかに散りながらも、別のグループが入ってきて様々に展開する。それは混乱ではない。







父と子と精霊という5つのグループに収まり、やがて5人の父達のみとなる。

父達の優雅なダンスは魅力的だ。客席後方から広大な半透明シート=オブジェを複数の女性が舞台に載せ、オブジェを翻し、自在に変化する瞬時の彫刻を生み出す。舞台の高さを視野に入れた演出、というよりも、インスタレーションやサイト・スペシフィック作品と同様の思想がここに帯びている。






















後方のカーテンが開くと、高い位置にピアノが設置され、演奏が始まる。横たわる女性ダンサーに囲まれながら、高橋による正確なバトンが始まる。まるで別世界でありながらも、やはり同時に実存し、共通の人生を歩んでいる感触がした。










カーテンが閉じられると、φ1mはあるだろう銀のリングが天井から降りてくる。天空では杉森が、地上では若き女性ダンサーがダンスという対話を果たす。









華やかな舞台は、一転してモダンディーズと清水の沈黙のダンスに転換する。


静謐な世界は村山のバリトンと桜子のピアノによって破られる。

日本人離れした二人の音楽は、空間性とは視覚に限らず、聴覚でも把握できることを知らしめさせる。この目覚めに、ダンサー達も融和していく。




カーテンは閉じられ、女性ダンサー達の、呼吸のあった見事な群舞が行われる。総ての出演者が集った。それぞれは自らの使命を前提としながらも、己の課題を見出し、自らと、世界の未来に希望を託して舞ったと私は解釈する。「未来」と副題にあったことに気付いたのは、原稿を書いてからであった。ここには振付が為されている筈なのに、それではない「希望」が炙り出されている。清水が如何に普段から、個に対して接していることがよく表れている。時計を見忘れたが、一時間以上の公演は瞬く間に終わったと感じるほど、見応えがあった。










作品のテーマを、清水から戴いたメールから引用する。「本作品のテーマの源は「復興」について学び考えることからはじまった。水に生かされながら、水によって失われた事実。歓喜だけではなく、深い悲しみに包まれた現実もある。その中でも互いを「生かそう」とし、そして自らが「生きよう」とした時に生まれる創造活動を通して「関わりの豊かさ」の体感や「再び盛ん」にさせたという実感が、この成熟した社会の「復興」と重なるのではないか。この考え方は本作品創作の機会をいただいたことで、水の豊かさだけでなく悲しみの側面をも直視した大切な気づきとなった」。


清水は東日本大震災を忘れていない。しかし、留まっていない。「関わり」とはこれからやってくることではない。いままであったけれども、失われたり、断絶したりすることもある。それを再び求め、引き寄せ、時間をかけても取り戻すことができる。そこで必要なのは、「関わり」であろう。この「関わり」がまた、未来を創出する。


かつて宮川寅雄は以下のように考えた。「あるひとりの人を研究するときに、自分との関係が一番大切なわけです。その人が生きていた社会のなかで、どういう役割をしてきたか、どういう仕事をしてきたかということを研究するのは重要でしょう。しかしそれとともに、その人が会ったこともない人であり、百年も前の人であり、あるいは千年も前の人であるかもしれないけれども、そういう人と自分との関係というものを意識することが、非常に大切だと思うのです」(「会津八一と私」一九八四年|和光大学編『ヨーロッパとアジアの交錯』一九九六年|四二頁)。」



本作品の優れているところは、

ダンス、

音楽、

インスタレーションを


清水というダンサーが総て構成したところにある。


これが音楽や美術の専門と「共作」となると、また別のものである。

翻って考えれば、

ダンサーでなければできない構成であるとも言える。

それは、貶しではない。

誉め言葉である。

このような構成を成した清水の卓越した力は、

普段からの研究と努力の結晶であろう。

多くのコレオグラファーに挑戦して戴きたい。


無論、総合的な面だけではない。

タヒチ、バトン、エアリアルといった癖の強いダンスを、

各ダンスの特徴を伸ばしつつも見事にモダンダンスと融合させた点にもある。


ショー的要素よりも

芸術性を高めた。

それは作品テーマである

「豊かさだけでなく悲しみの側面をも直視」することと、

見事に重なるのではないだろうか。


清水自身の凛とした踊りにも、

目を瞠らされた。

熟練しながらも初心を忘れず、

男性的とも女性的とも、

具体性と抽象性を共に帯びている。


その優雅さの裏には、

当然、

人間の「悲しみ」や苦しさ、

やるせなさといったマイナスと思われる感情が支えている。


このような清水の作品を、これからも多くの方々に見て、感じて、

これから生きる糧にして戴きたいと、私は感じたのであった。


(2024年2月28日マチネ初見|2024年4月5日記・公開)










2024都民芸術フェスティバル参加公演現代舞踊公演

水廻(みずめぐる) 〜Water circle〜

私達がまだ経験したことの無い未来へ、この大地を継ぐ。

無事終演を迎えることができました。

ご来場くださった皆様、応援してくださった皆様、そしてスタッフの皆様ありがとうございました。

多くの感想やあたたかなメッセージをいただき、ありがとうございます。

今回は、本作品に向けて約1年の準備期間で制作運営してまいりました。今の私に何ができるのか?

これまで舞踊作品に取り組んできて、1人では何もできないという実感が強くありました。

昨年4月にキャスティング、5月からリハーサルに入りました。

本当に幸せなことに出演者に恵まれ、

創作環境に恵まれのびのびと互いに対話を繰り返しながら一つ一つの場面が生まれていきました。

不思議なくらい不安を抱くことなく穏やかに状況を受け止めながらリハーサルを進めていくことができました。

まさに、

「私達がまだ経験したことの無い未来」の連続で、

思わぬ発見や喜びと同時に思わぬ悲しみとも向き合う1年間となりました。

ダンサーたちもそれぞれの人生の中で思わぬ出来事と向き合いながら体や時間と折り合いをつけながら、

共に踊れる共に感じ合える瞬間を大切にしながら参加してくれていました。

私が知っている限りの出演者のこれまでの日々を思っても胸が熱くなります。

本当にこの舞台に向かってそれぞれが臨んでくれました。


本番は、多くのお客様に包まれ、温かな拍手、たくさんの「ブラボー」もいただき、

最高の喜びの瞬間をいただきました。

ご来場くださった皆様、本当にありがとうございました。

しかしながら、課題も多く生まれましたので、今後の取り組みに必ず生かしていく所存です。


ここ数日はなぜか気持ちが沈んでおりました。

そうか、この舞台が終わってしまって、寂しいんだな。

出演者一同が集まり、この作品が生まれたことはまさに奇跡でした。


思い通りにならないことの多い現実の中で、

今回は、私が思い描いていた時間と空間を舞台に生み出すことができました。


こんなことがあるんだなと驚いています。

その瞬間を生み出し、そして客席で見守り、それぞれの環境で祈ってくださりありがとうございました。

まさに、「CIRCLE 全ては循環の中に」ありました。

本当にありがとうございました。

                      

清水フミヒト



都民芸術フェスティバル2024公式サイト


野坂公夫さん・坂本信子さん内田 香さん・清水フミヒトさんにインタビュー

現代舞踊公演「CIRCLE~すべては循環のなかに~」


Tokyo Performing Arts Festival 2024

2024都民芸術フェスティバル参加公演 現代舞踊

236.【舞台評】清水フミヒト《水廻(みずめぐる)〜Water circle〜》私達がまだ経験したことの無い未来へ、この大地を継ぐ。



日時:2024年2月28日(水) 15:00開演/19:00開演(2回公演)

会場:東京芸術劇場プレイハウス

チケット:全席指定4100円 (税込) 

 

主催:東京都・公益財団法人東京都歴史文化財団・都民芸術フェスティバル

主催・制作:一般社団法人現代舞踊協会

助成:文化庁芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)

            独立行政法人日本芸樹文化振興会


構成・演出・振付:清水フミヒト

音楽:小西徹郎・東大路憲太

衣装:岩戸洋一・本柳里美

出演:

705+Dance Lab/鈴木 泰羽・石川 彩歩

齋藤 美琴・舟田 桔平・中嶋 彩希・笠井 星良・菊地 陽日

尚美学園大学在校生・卒業生/

小島 里奈・溝上 瑞季・金子 楓・浅川 奏瑛・徳田 美佳・中川 友里江・長谷 見早雪・久保田 千恵・成田 美鈴・本間 夏梨・笹島 愛結羽

タヒチアンダンサー/野口 花代

エアリアルパフォーマー/杉森 茜

バトントワラー/髙橋 あすか

バス・バリトン歌手/村山 岳

ピアニスト/桜子

ダンサー/石川 千瑞子・三輪 亜希子・矢萩 もえみ

舞踊集団モダンディーズ/石井 登・高谷 大一・武井 一仁・東 秀昭・中村 隆彦



作品:水廻(みずめぐる) 〜Water circle〜 

私達がまだ経験したことの無い未来へ、この大地を継ぐ。

作品のテーマ:

本作品のテーマの源は「復興」について学び考えることからはじまった。水に生かされながら、水によって失われた事実。歓喜だけではなく、深い悲しみに包まれた現実もある。その中でも互いを「生かそう」とし、そして自らが「生きよう」とした時に生まれる創造活動を通して「関わりの豊かさ」の体感や「再び盛ん」にさせたという実感が、この成熟した社会の「復興」と重なるのではないか。この考え方は本作品創作の機会をいただいたことで、水の豊かさだけでなく悲しみの側面をも直視した大切な気づきとなった。


出演者の浅川奏瑛さんデザイン













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